生きて

おれには帰る家がない。

だから、毎日ふらふらしている。

食べ物は、いろんな人に少しずつ

分けてもらっている。

雨が降れば、木陰で休む。

通りかかった人の後をつけ、

運が良ければ、

快適なベッドで一晩過ごすこともある。

でも、こんなおれを殺そうとするヤツがいる。

おれは生きている価値はないかもしれないが、

殺さなくてもいいだろう?

そんなに憎いか。

嫌われていることはわかっている。

でも死ぬのはいやなんだ。

ああ、目が回る。

さっき、この部屋に閉じ込められた。

どこにも出る隙間はない。

部屋の真ん中においてある渦巻きからは、

白い煙が出ている。

 おぉうい、火事になるぞぉー

床に横になる。

薄れていく意識の中で、ドアが開く気配がした。

誰かが近づいてくる。

猛烈な風圧を感じた瞬間、おれの体はペシャンコになった。

そして、蚊としての一生を終えた。



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